赤ちゃんの体は、大人よりもずっと純粋で、食べたものがそのまま血となり肉となります。離乳食が始まると「いつから塩を使って良いのか」と悩まれる方も多いでしょう。
大切なのは、数字上の「減塩」に縛られることではなく、赤ちゃんの「内なる海」を清らかに保つための「質の良い塩」を知ることです。
精製された白い粉ではなく、太陽と風のエネルギーを宿した天然塩が、どのように我が子の生命力を育むのか。最新の知見と、古くから伝わる慈しみ深い養生の知恵を合わせ、離乳食と塩の真実を紐解いていきましょう。
1. 離乳食の塩分はいつから?
赤ちゃんの血液や体液は、まさに「太古の清らかな海」そのものです。この純粋な状態を維持するためには、腎臓が未発達な離乳食初期(5〜6ヶ月)において、外から塩を足す必要は全くありません。
この時期、赤ちゃんは母乳やミルク、そして野菜やおかゆに含まれる微量なナトリウムだけで、生命活動に必要な分を十分に賄っています。
無理に味を付けることは、赤ちゃんの清らかな海を濁らせ、将来の味覚を狂わせる原因となります。
7〜8ヶ月(中期)以降から始める「味覚の扉」を開く一振り
塩を意識し始めるのは、離乳食に慣れてきた中期(7〜8ヶ月)以降が良いでしょう。
ただし、それは「味を濃くする」ためではなく、素材の旨味を引き出し、赤ちゃんの五感を優しく刺激するためのものです。
この時期からごく微量の「本物の塩」を摂り入れることは、消化液の分泌を促し、食べ物をエネルギーに変える力を助けることにも繋がります。
焦らず、赤ちゃんの成長に合わせて、一粒の塩が持つ「陽」の力をそっと添えてあげることです。
2. 精製塩は赤ちゃんの腎臓に重荷?
多くの育児書で「塩分控えめ」が強調されるのは、主に塩化ナトリウム99%以上の「精製塩」を想定しているからです。
精製塩は浸透圧の力が鋭すぎて、赤ちゃんの小さな腎臓に過度な濾過の負担をかけ、細胞から大切な水分を奪い去ってしまいます。

一方、海のミネラルを丸ごと抱いた天然塩は、赤ちゃんにとって「薬」に近い存在となります。
細胞の浸透圧を整え、神経の発達を助けるミネラルの調和
天然塩に含まれるマグネシウムやカルシウム、カリウムは、ナトリウムの働きを調整し、細胞内外のミネラルバランスを保つ緩衝材となります。
エビデンスによれば、微量ミネラルは脳の神経伝達物質の生成や、筋肉の正常な収縮に不可欠です。精製塩で「ナトリウムだけ」を摂ることは不自然な歪みを生みますが、天然塩で「海水のバランス」を摂ることは、赤ちゃんの細胞が本来持っている成長のリズムを整える手助けとなるのです。
3. 月齢別・失敗しない塩の分量。赤ちゃんの細胞が喜ぶ「微かな風味」の目安
「微量」と言われても、どれくらいが適量なのか迷うものです。赤ちゃんの健康を守るための、月齢ごとの目安を整理しました。
| 月齢(段階) | 塩の分量の目安(1食あたり) | ポイント |
|---|---|---|
| 5〜6ヶ月(初期) | 0g(完全無塩) | 素材と昆布だしの旨味だけで十分です |
| 7〜8ヶ月(中期) | 指先でかすかに触れる程度(0.1g以下) | 味を付けるのではなく、旨味を引き出す隠し味 |
| 9〜11ヶ月(後期) | 耳かき1杯弱(約0.2g) | 手づかみ食べの素材にパラリと振る程度 |
| 1歳〜1歳半(完了期) | 小さじ10分の1程度(0.5g以下) | 大人の味付けの4分の1から3分の1が目安 |

大人の舌で「美味しい」と感じるようでは、赤ちゃんにとっては多すぎます。
大人が「かすかに塩の気配を感じるかな?」という程度が、赤ちゃんの繊細な味覚と体を守る、黄金の比率であると心得ることです。
マイクロプラスチックを避け、最高の一粒を選ぶ審美眼
我が子に与えるものだからこそ、今の時代の環境リスクからは目を背けることはできません。
海塩におけるマイクロプラスチックや重金属の懸念は、多くのお母様、お父様にとって無視できない不安要素となっていることでしょう。
しかし、これを恐れて海の恵みをすべて断ち切る必要はありません。大切なのは、職人がどのような意識で、どのような工程を経てその塩を形にしているかを見極めることです。
優れた製塩メーカーは、海水を汲み上げる段階で高度なフィルターを用い、さらに結晶化の過程で不純物を手作業で取り除くなど、最新の注意を払っています。
赤ちゃんのための「清らかな塩」選別基準
- 公式サイト等でマイクロプラスチック除去や重金属の検査結果を公開していること
- 不自然な固結防止剤などの添加物が一切含まれていないこと
- 岩塩であれば、汚染のない数億年前の地層から採掘された純度の高いものであること
- 製造工程に「イオン膜」を使わず、自然の理に沿った「天日」や「平釜」であること

安さや知名度だけで選ぶのではなく、その一粒がどのような旅をして赤ちゃんの口に届くのか、その物語を読み解く賢さを持つことです。
信頼できる作り手を応援することは、そのまま我が子の健やかな未来を守ることに繋がります。
離乳食に自信を持って使える厳選天然塩3選
ミネラルバランスが秀でており、かつ安全性が高く、赤ちゃんの繊細な味覚を優しく育む塩を厳選しました。

1. 沖縄県「ぬちまーす」
世界初の製法により、海水のミネラルを丸ごと結晶化させたこの塩は、ナトリウム(塩分)が通常の塩より25%ほど低く、代わりにマグネシウムが圧倒的に豊富です。
パウダー状で即座に溶けるため、離乳食中期の「お粥へのひとふり」に最適です。赤ちゃんの未発達な腎臓に優しく、細胞を潤す力が極めて高い一本です。
2. 伊豆大島「海の精(あらしお)」
日本の伝統的な平釜製法を守り抜き、海水の黄金比をそのまま封じ込めた生命力溢れる塩です。
日本人の体質に最も馴染みやすい成分バランスを持っており、出汁の旨味を驚くほど引き立てます。中期以降、野菜の煮物やスープにほんのわずか加えることで、赤ちゃんの味覚を豊かに広げてくれます。
3. 大徳醤油「平左衛門(へいざえもん)」の塩、または高品質な「ヒマラヤ岩塩」
汚染のない太古の地層から採掘された岩塩も、赤ちゃんにとって安心な選択肢の一つです。
特に粒子が細かいピンクソルトなどは、鉄分などの微量ミネラルを含み、穏やかな「陽」の気で赤ちゃんの体を温めてくれます。海塩と岩塩を併用し、多様な大自然のエネルギーを届けることも、賢い食育と言えるでしょう。
読者さんからのQ&A
Q. 天然塩に含まれる「ニガリ(マグネシウム)」は、赤ちゃんのお腹を緩くさせませんか?
A. 適量であれば、むしろ腸の動きを整え、便秘を防ぐ助けとなります。
赤ちゃんは消化機能が未熟なため、便秘になりやすい傾向があります。天然塩に含まれる微量のマグネシウムは、腸内に水分を呼び込み、便を柔らかくして自然な排便を促す力があります。もちろん、過剰摂取はいけませんが、離乳食にひとつまみ使う程度の天然塩であれば、お腹を壊す心配よりも、ミネラルによる整腸作用の恩恵の方が大きいと言えるでしょう。
我が子の排便のリズムを観察しながら、優しく取り入れていくことです。
Q. 離乳食に使うお醤油や味噌も、天然塩で仕込まれたものを選ぶべきですか?
A. はい。むしろ、加工品である調味料こそ「塩の質」がすべてを決めるのだと心得ることです。
安価な調味料は精製塩や添加物で味を整えていますが、それでは赤ちゃんの血液を濁らせてしまいます。天然塩でじっくり醸されたお醤油や味噌は、塩の角が取れてまろやかであり、微生物が作り出したアミノ酸が豊富です。

一滴のお醤油、ひとさじのお味噌が赤ちゃんの細胞を創るのだという自覚を持って、本物を選び抜くことです。
Q. 1歳を過ぎたら、大人と同じ味付けにしても大丈夫ですか?
A. まだ早すぎます。内臓はまだ発達の途上にあり、味覚も驚くほど敏感な時期であることを忘れてはいけません。
1歳から1歳半の完了期であっても、大人の味付けの半分、あるいは3分の1程度が目安です。この時期に「濃い味」に慣らしてしまうと、一生の味覚の土台が壊れてしまいます。
本物の天然塩を少量使うことで、素材本来の「甘み」を感じ取れる繊細な舌を育ててあげること。それが、将来の偏食や生活習慣病を防ぐ、最高にして唯一のプレゼントとなります。
結論
離乳食に塩を摂り入れることは、単なる調理の工程ではありません。
それは、母なる海の記憶を宿した一粒を通じて、赤ちゃんの細胞に「この世界は豊かで安全な場所だよ」と語りかける、愛の儀式でもあります。
不自然な精製物質を手放し、自然の摂理に沿った天然塩へと立ち返ること。
その選択が、赤ちゃんの清らかな血液を守り、10年後、20年後の健やかな心と体を創り上げる礎となります。
数字上の制限に一喜一憂するよりも、一粒の塩に込められた太陽と風、そして職人の想いを信頼すること。
今日、あなたが心を込めて離乳食に添えた「最初の一粒」が、我が子の生命力を輝かせ、未来へと続く命のバトンを強く太くしてくれるはずです。
明日からの離乳食を整えるチェックリスト
- 離乳食初期(5〜6ヶ月)は塩を使わず、素材そのものの命の味を伝えること。
- 中期(7〜8ヶ月)以降から、マグネシウム豊富な「天然塩」をごく微量、味覚の扉を開くために使うこと。
- 「精製塩(塩化ナトリウム99%以上)」を台所から遠ざけ、赤ちゃんの腎臓を守ること。
- お母様、お父様自身も本物の塩を味わい、味覚の審美眼を赤ちゃんと共に養うこと。




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