焦げ付かないテフロン(フッ素樹脂)加工のフライパンは、高温になると有毒ガスを発生させ、剥がれたコーティングは「永遠の化学物質」として体内に蓄積される懸念があります。「PFOAフリー」なら安心?
いいえ、それも類似物質かもしれません。本記事では、便利な化学加工の代償と、「鉄のフライパン」に戻ることで得られる、貧血予防と一生モノの健康効果についてお伝えします。
その便利さは「毒」と引き換え?:テフロン(フッ素樹脂)が熱で牙をむく時
空焚き厳禁の理由:260℃を超えた瞬間に発生する「有毒ガス」とインフルエンザ様症状
焦げ付かず、汚れもするりと落ちる魔法のようなフライパン。その便利さに甘えて、大事なことを忘れています。それは、テフロンなどのフッ素樹脂加工が、本来は熱に弱い「プラスチック」の一種であるという事実。
メーカーの説明書には必ず「強火にしない」「空焚きしない」と小さな文字で書かれていますが、これを守れている人がどれだけいるでしょうか?
フッ素樹脂は、約260℃を超えると劣化が始まり、350℃付近に達すると、目に見えない有毒な分解ガスを発生させます。
調理中のうっかりとした空焚きや、強火での予熱を行えば、わずか数分でこの危険温度に達してしまいます。このガスを吸い込むと、人間でも「ポリマーヒューム熱」と呼ばれる、高熱や悪寒、頭痛といったインフルエンザに似た症状を引き起こすことがあります。
風邪だと思っていたその不調が、実は毎日使っているフライパンから出る化学物質のガスによる中毒かもしれないのです。
台所という命を育む場所で、ガスマスクが必要なほどの化学反応が起きている可能性を、もっと深刻に受け止めなければなりません。
化学物質に敏感なペットが教えてくれる「空気汚染」の真実
このガスの毒性を最も残酷な形で証明しているのが、インコやカナリアなどの小鳥たちです。小鳥は呼吸器が非常に敏感で、人間よりもはるかに早く空気の汚れを察知します。テフロン加工のフライパンを空焚きしてしまった直後に、隣の部屋で飼っていた小鳥が突然苦しみだし、落鳥してしまう事例は、世界中で後を絶ちません。
体が小さな生き物にとって致死量となる毒ガスが、目の前で発生しているのです。人間は体が大きいから直ちには死なないだけのこと。
「小鳥が死ぬ空気」の中で料理を作り、その空気を吸い続けている子どもたちの体に、何の影響もないと言い切れるでしょうか。便利さを優先するあまり、私たちは家の空気を汚染し、見えない毒を家族に吸わせていることに気づくべきです。
体内に蓄積される「永遠の化学物質」。剥がれたコーティングとPFASの脅威
食べているのは料理だけではない。傷ついたフライパンから溶け出す微細プラスチックと化学成分
使い込んで表面がザラザラになったり、剥がれて銀色の地金が見えたりしているフライパンを、「まだ使えるから」と使い続けてはいませんか。その剥がれ落ちた黒いコーティングの破片は、どこへ消えたのでしょうか。それは全て、ハンバーグや野菜炒めと一緒に、あなたと家族の胃袋の中へ入っていったのです。
メーカーは「体内に入っても吸収されずに排出される」と言いますが、それはあくまで大きな破片の話です。ナノレベルまで細かくなったプラスチック粒子や、そこに含まれる化学助剤が、体内でどのような挙動をするか、全てが解明されているわけではありません。異物が体に入れば、肝臓や腎臓はそれを解毒・排出しようと必死に働きます。毎日の食事でフライパンの破片を食べ続けることは、沈黙の臓器に不要な重労働を強い、じわじわと弱らせていく行為に他なりません。
「PFOAフリー」に騙されるな:規制逃れの代替物質もまた、分解されない「同じ穴のムジナ」である
最近では「PFOA(ピーフォア)不使用」「安心のPFOAフリー」と大きく書かれた商品が増えました。かつてフッ素樹脂の製造に使われていたPFOAという物質に、発がん性や免疫毒性があることが分かり、世界的に製造が禁止されたからです。
しかし、これで安心だと飛びつくのは早計です。メーカーはPFOAを使えなくなった代わりに、構造がよく似た別のフッ素化合物(PFOSやGenXなど)を使っているに過ぎない場合が多々あります。これらは「PFAS(ピーファス)」と呼ばれる有機フッ素化合物の仲間であり、自然界ではほぼ分解されないことから「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」と呼ばれています。
名前が変わっただけで、体や環境に蓄積し続けるという本質的なリスクは変わっていない可能性があります。「フリー」という言葉は、安全を保証するものではなく、単に「規制されたあの物質だけは入っていません」というメーカーの言い訳に過ぎないこともあるのです。化学物質のモグラ叩きごっこに付き合うよりも、怪しいものには最初から手を出さないという決断こそが、賢い防衛策です。
「鉄」への原点回帰
サプリメントより効果的で安全な「南部鉄器・鉄フライパン」の効能
では、テフロンをやめて何を使えば良いのか。答えは、私たちが昔から使ってきた「鉄」にあります。現代の女性や子どもたちに貧血や冷え性が増えている原因の一つは、調理器具が便利になりすぎて、食事から自然に鉄分を摂る機会が失われたことにあると私は見ています。
鉄のフライパンや南部鉄器でお湯を沸かしたり、野菜を炒めたりすると、吸収率の良い「二価鉄」という鉄イオンが料理に溶け出します。
これは、病院で処方される鉄剤やサプリメントよりも、体に優しく、自然な形で吸収されます。鉄鍋で作ったひじきの煮物や味噌汁は、それ自体が立派な「血を作る薬」なのです。テフロンのフライパンは料理を温めるだけですが、鉄のフライパンは料理の栄養価を高め、家族の血肉を作ってくれます。重いから嫌だと敬遠せず、その重みこそが命を支える土台なのだと知れば、頼もしい相棒に見えてくるはずです。
面倒臭さの向こう側
「鉄は焦げ付く」「錆びるから手入れが面倒」という声もよく聞きます。確かに、洗剤で洗って放置するだけのテフロンに比べれば、少しの手間はかかります。しかし、使い終わった後にお湯とタワシでゴシゴシ洗い、火にかけて乾かす。この一連の動作は、道具への感謝の時間です。
使い込むほどに油が馴染み、黒光りするようになった鉄のフライパンは、驚くほど焦げ付かなくなります。これを「鍋を育てる」と言います。数年で剥げてゴミになるテフロンとは違い、鉄鍋は手入れさえすれば、親から子へ、子から孫へと受け継ぐことができる一生モノです。
使い捨ての道具からは、使い捨ての心しか生まれません。手間をかけて道具を愛し、長く使い続ける姿勢は、食事を作る心にも、そしてそれを食べる家族の心にも、温かい「丁寧さ」を宿してくれます。便利さを手放した先にある、本物の豊かさと健康を、ぜひ鉄のフライパンと共に取り戻してください。
「フライパンのフッ素加工は怖い」と感じて鉄に変えたあなたに、もう一つ、どうしても伝えておきたい重大な盲点があります。 それは、毎朝晩、家族全員が口に入れている「歯磨き粉」。
実は、フライパンと同じ「フッ素」を、吸収率の高い口の粘膜に直接擦り込んでいるとしたら……? その危険性は、フライパンの比ではありません。
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