奪われた「命の塩」。天然塩が姿を消した歴史的背景と復活の物語

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私たちの血は、太古の海そのものです。その血を清らかに保つために不可欠な「塩」が、かつてこの国で「法律」によってその姿を歪められた歴史をご存知でしょうか。

戦後の高度経済成長の陰で、日本人の健康を支えてきた伝統的な塩田は国家の手によって解体され、代わりに食卓へ届けられたのは、ミネラルを失った純粋な化学物質でした。

なぜ、命の源である塩がこれほどまでに制限されなければならなかったのか。専売制という重い鎖の歴史を紐解き、私たちが取り戻すべき「本物の塩」の価値を見つめ直します。

1. 1971年、日本の海から「塩田」が消えた日

かつて日本の海岸線には、太陽と風の力を借りて塩を作る、美しい塩田の風景が広がっていました。しかし、1971年(昭和46年)に施行された「塩業近代化臨時措置法」により、その光景は一変します。

この法律は、一見すると「古くさい重労働を機械化し、安価な塩を供給する」という善意の皮を被っていましたが、その実態は、日本伝統の製塩文化を根底から破壊するものでした。

国家が「不純物」として排除したミネラルの正体

この法律によって導入された「イオン交換樹脂膜法」は、海水の成分から電気的にナトリウムと塩素だけを抽出する高度な技術です。国は、これ以外の方法での塩作りを原則として禁止しました。

ここで「不純物」として取り除かれたものこそが、私たちが生きるために不可欠なマグネシウム、カリウム、カルシウムといった多種多様な微量ミネラルでした。科学的に純粋であることを追求した結果、塩は「命を養う薬」から、単なる「塩味をつける白い粉」へと姿を変えられてしまったのです。

2. 効率と引き換えに捨てられた「ミネラルの宝庫」│イオン交換樹脂膜法の科学的罪

なぜ国は、それほどまでに製法を統一したかったのでしょうか。それは、当時の日本が求めていたのが「食卓の健康」ではなく、ソーダ工業などの「工業用原材料としての純粋なナトリウム」だったからです。

工業用としては、不純物(ミネラル)が混じっていない方が都合が良かった。しかし、人間の細胞は工業製品ではありません。塩化ナトリウムを99%以上に濃縮した塩は、浸透圧のバランスを急激に乱し、腎臓を疲れさせ、血管を硬くする原因となります。

専売制が生んだ「精製塩」による健康への代償

エビデンスとしても、精製塩の過剰摂取が血圧を上げ、体内のカルシウムやマグネシウムを奪い去ることは多くの研究で証明されています。専売制の時代、日本人の間で高血圧や脳血管疾患が急増したのは、単に塩分の摂りすぎだけではなく、「ミネラルを失った不自然な塩」を強制されたことによる影響が無視できないと言わざるを得ません。

自然の摂理に背き、科学だけで命を御そうとしたことの代償を、私たちは今もなお、自らの体で払い続けていることに気づくことです。

3. 血を汚し、体を冷やす「白い粉」への変貌

東条百合子の教えでは、塩は「火」であり、体を温め、血液を浄化する最高の力を持っています。しかし、専売制がもたらした精製塩は、その「火」の力を失い、むしろ体を冷やし、血を汚す「陰」の物質に成り下がっていました。

ミネラルを欠いた塩は、代謝を滞らせ、体温を下げます。体温が下がれば免疫力は衰え、万病の火種となります。専売制の数十年の間に、日本人の体質は「冷え」に弱くなり、かつての逞しさを失っていった。これは決して偶然ではなく、命の源である塩を管理下に置いたことの必然的な結果と言えるでしょう。

管理された味覚が奪った「本能の智慧」

専売制は、日本人の味覚さえも画一化しました。どの塩を舐めても、ただ「刺すように辛い」だけ。本来、本物の塩には「甘み」「苦味」「酸味」といった海の複雑な響きが含まれています。

この複雑な味こそが、脳に「もう十分だ」という満足感を与え、過剰摂取を防ぐブレーキとなっていました。ブレーキの壊れた「白い粉」を摂り続けることで、日本人の食に対する本能的な智慧までもが、少しずつ削り取られていったのです。

4. 命を懸けて伝統の火を守り抜いた先駆者たちの物語

専売制という厚い壁に囲まれ、日本中から塩田が消えていく中、その火を絶やさぬよう命を懸けて戦った人々がいました。
彼らが守ろうとしたのは、単なる伝統の技ではなく、日本人の細胞を支える「ミネラルの調和」そのものでした。

特に伊豆大島で始まった「自然塩復活運動」は、法律という名の暴力に抗う、まさに命の叫びでした。
当時、国以外の者が塩を作ることは犯罪でしたが、彼らは「塩」としてではなく、「ニガリ(食品添加物)」や「試験研究」という名目を使い、当局の厳しい監視の目をかいくぐりながら、本物の塩を求める人々にその結晶を届け続けました。

「海の精」という名に込められた、血を浄化する願い

彼らが作り上げた塩は、やがて「海の精」として世に知られるようになります。
この活動を支えたのは、病に苦しみ、不自然な食生活に疑問を抱いた消費者たちでした。
「自分の体は自分で守る」という強い意志が、国家の独占を揺るがし、ついには専売制廃止という歴史の転換点を引き寄せたのです。

私たちが今、自由に塩を選べる幸せの裏には、こうした先駆者たちの血の滲むような努力があったことを、忘れてはなりません。
一粒の塩をいただくとき、その背景にある物語に思いを馳せること。それが、自らの命を慈しむ第一歩となります。

5. 自由化された今こそ問われる、私たちの「選ぶ力」

1997年の専売制廃止、そして2002年の完全自由化を経て、日本の製塩業は冬の時代を終えました。
しかし、自由になったからといって、スーパーに並ぶすべての塩が「命を養う本物」であるとは限りません。

むしろ現在は、巧妙なマーケティングによって「天然」や「自然」を装った不自然な塩も多く出回っています。
歴史を知る私たちは、表面的な言葉に惑わされず、中身を見極める審美眼を持たなければなりません。

失敗しないための「本物の塩」選別基準

  • 原材料名が「海水」のみで、国産の産地が明記されていること
  • 工程に「イオン膜」「立釜」と書かれたものは避け、「天日」「平釜」を選ぶこと
  • 輸入した天日塩を国内の海水で溶かして再加工した「再生加工塩」であるかを見極めること
  • 手に取った時に、ミネラルの重みを感じる少し「しっとり」とした質感であること

現在、多くの選択肢があるからこそ、自らの細胞が何を求めているのかを深く問いかけること。
安さや便利さに流されず、数億年の海の記憶を抱いた一粒を選び取る知恵を養いましょう。

読者さんからのQ&A

Q. 専売制の時代、もし個人が勝手に塩田を作って塩を売ったらどうなっていたのですか?

A. それは明確な「法律違反」であり、警察による取締りの対象となる重罪でした。

塩はタバコと同様に「専売品」として厳格に管理されていました。国以外の者が勝手に製造・販売することは、たとえそれがどんなに体に良いものであっても許されなかったのです。

しかし、この暗黒の時代にあっても、「日本人の健康を守りたい」という一心で、法律の隙間を縫い、ニガリ(食品添加物)や研究目的という名目で、命懸けで天然塩を届けようとした人たちがいたことを、私たちは忘れてはなりません。

Q. 今のスーパーにある「天然塩」は、専売制時代のものと何が違うのですか?

A. 1997年の専売廃止、そして2002年の完全自由化を経て、ようやく私たちは「製法を自由に選べる」権利を取り戻しました。

専売制時代の塩は、国が許可した特定の工場で作られたものでしたが、現在は小規模な職人が自らの塩田で作った塩も自由に流通しています。

ただし、自由になったからこそ、粗悪な輸入塩を溶かして再加工しただけの「偽物の天然塩」も混在しています。歴史を知り、裏ラベルを読み解く力を持つことは、国に依存せず、自らの健康を自らで守るための最初の一歩です。

Q. 専売制が廃止された今でも、精製塩が主流なのはなぜですか?A. 大量生産による「圧倒的な安さ」と、長年の画一的な味覚教育の影響が残っているからです。

精製塩は、工業製品としては非常に優れた「安定した品質」を持っています。しかし、体にとっては不自然な刺激物です。現代の多くの食品加工業者が精製塩を使い続けるのは、コストと効率を優先しているからに他なりません。私たちは、安さの代償に自らの健康を差し出すのではなく、少々値が張っても「命の価値」を優先する賢い消費者へと成長することです。

Q. 専売制時代の「食塩」を使い続けると、具体的に体にどのような歪みが出ますか?A. ミネラルバランスが崩れ、細胞の「浸透圧」の調整ができなくなるため、むくみや冷え、慢性的な疲労を招きます。

精製塩は塩化ナトリウム単体のため、細胞から水分を無理やり引き出してしまいます。これが「塩の摂りすぎ=むくみ」の正体です。

一方で、天然の塩はマグネシウムやカリウムの助けを借りて、水分調整をスムーズに行います。専売制の数十年の間に、日本人の多くが抱えるようになった「原因不明の不調」の根底には、この塩の変化があると考えて間違いありません。

結論

日本の塩専売制の歴史を紐解くことは、私たちの健康がどのように管理され、何が奪われてきたのかを知るプロセスに他なりません。

国が定めた効率重視の「白い粉」が、私たちの血を汚し、体を冷やし、心の調和を奪ってきた数十年。
しかし、私たちはもう、その鎖から解き放たれています。
台所にある一粒の塩を本物に変えること。それは、自らの細胞の主権を国から取り戻し、自然の摂理に沿った生き方へと立ち返る宣言でもあります。

本物の塩は、あなたの内臓を温め、血液を浄化し、食材が持つ生命力を最大限に引き出してくれます。
奪われた歴史を嘆くのではなく、今ここにある「命の塩」を感謝していただくこと。
今日選んだその一粒が、10年後のあなたと家族の笑顔を支えている。その確信を持って、心穏やかに本物の一滴を食卓に届けてください。

明日からの細胞を整えるアクションプラン

  • 台所にある塩のパッケージを裏返し、「イオン膜」の文字がないか確かめること。
  • 「海の精」などの伝統を守り抜いたメーカーの歴史を、一度調べてみること。
  • 「国が認めたもの」を鵜呑みにせず、自らの舌と体で真実を判断する習慣を持つこと。
  • 一粒の塩ができるまでの太陽と風、そして職人の情熱に感謝して、丁寧にいただくこと。

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