「シママース」は体に悪い?その正体は精製塩?成分の真実と賢い使い分け

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「沖縄の塩だと思っていたのに、原料が外国産?」シママースのパッケージを見て、不安を感じたことはありませんか。

ネット上では「偽物」「危険」という声もありますが、安易に信じてはいけません。それは、危険なイオン交換膜法の精製塩とは全く異なる、先人の知恵が詰まった塩なのです。

本記事では、輸入原料を使う理由や添加物の真実を解き明かし、最高級の天然塩との栄養比較を通じて、シママースを安全に使いこなすための台所の知恵を伝授します。

シママースは本当に良い塩か?

なぜ「メキシコ・オーストラリア産」の天日塩を使うのか?

沖縄の青い海を連想させるパッケージを手に取り、裏面の表示を見て「えっ」と思いませんでしたか?

そこには、はっきりと「天日塩(メキシコまたはオーストラリア)」と記されています。「沖縄の塩だと思っていたのに、外国産だったのか」と、裏切られたような気持ちになるのも無理はありません。

しかし、ここで「偽物だ」と切り捨てる前に、なぜそのような作り方をしているのか、その背景にある歴史と理由を冷静に見る目が必要です。

かつて日本には、国が塩を独占管理する「塩専売法」という法律があり、海水から直接塩を作ることが厳しく制限されていた時代がありました。

その中で、沖縄の人々が「何とかして本来の塩の味を家庭に届けたい」と知恵を絞り、国から輸入が許可されていた海外の天日塩をベースにして、沖縄の海水を加えるという手法を生み出したのです。

つまり、これは産地偽装などではなく、厳しい規制の中で良質な塩を守ろうとした苦肉の策であり、先人の知恵の結晶なのです。

使われているメキシコやオーストラリアの天日塩は、広大な塩田で太陽と風の力だけで結晶化させたものです。これらは、工場で電気分解して作られる純度99.9%の化学的な精製塩とは根本的に育ちが異なります。

太陽のエネルギーを浴びた自然の産物であることに変わりはありません。シママースは、この輸入天日塩を一度水に溶かし、不純物を取り除いた上で、沖縄の生命力あふれる海水を加えて再生させています。安価で安定して供給できる輸入塩を土台にすることで、私たちは手頃な価格で、ミネラルを含んだ塩を日常的に使うことができるのです。

「再生加工塩」とは?輸入塩を沖縄の海水で溶かす工程は「化学的」か「物理的」か?

では、この「一度溶かして、再び結晶化させる」という工程、いわゆる「再生加工塩」という言葉に、何か恐ろしい化学的な響きを感じてはいないでしょうか。

ネット上には「一度溶かした塩は死んでいる」などという極端な意見も散見されますが、物事の本質を科学的、かつ自然の理に照らして判断せねばなりません。

シママースの製造工程は、輸入した天日塩を沖縄の海水で溶かし、フィルターでろ過して異物を取り除き、それを釜で煮詰めて再び結晶にするというもに。

ここには、イオン交換膜を使ってナトリウムだけを抽出するような「化学的」な操作は一切ありません。あくまで、溶かして煮詰めるという「物理的」な工程です。

大切なのは、ここで沖縄の海水が加えられているという点。

輸入されたばかりの天日塩は、長い輸送の間に乾燥し、ミネラルバランスが崩れていることもあります。そこに、マグネシウムやカリウムなどのミネラル(にがり成分)をたっぷりと含んだ沖縄の海水を足して煮詰めることで、塩の結晶の周りにミネラルの衣を着せているのです。

これは、化学薬品で白く漂白するのとは訳が違います。失われた海のエキスを補い、より人間に近いバランスへと整え直す作業と言えます。

もちろん、最初から最後まで沖縄の海水だけで作った完全な天日塩や平釜塩に比べれば、微量ミネラルの含有量は劣るかもしれません。

しかし、精製塩の害から家族を守るための「第一歩」として、また漬物やパスタを茹でるための「普段使いの塩」として、この製法は理にかなった選択肢の一つであると認めても良いのではと私は思うのです。

「体に悪い」と言われる理由

海外産岩塩に使われる「固結防止剤」は除去されているのか?

ネット上で「シママースは危険だ」と言われる最大の理由は、原料が外国産だからです。海外、特に乾燥した大陸で大量生産される岩塩や天日塩には、サラサラとした状態を保つために「フェロシアン化物(黄血塩)」という固結防止剤が添加されることが一般的。これが毒性を持つのではないかと危惧してのことかと思います。

しかし、ここで恐れすぎる必要はありません。シママースを作る過程には、先ほど述べた「水に溶かす」という工程があります。メーカーは安全性を確保するために、フェロシアン化物を使用していない天日塩を厳選して輸入しているか、あるいは仮に含まれていたとしても、一度水に溶かしてろ過し、再結晶化させる過程で、これらの不純物や添加物は除去される仕組みになっています。

日本の食品衛生法は厳しく、私たちが口にする段階で危険な物質が残留していることはまず考えにくいのです。噂に惑わされて不安になるよりも、メーカーがどのような工程を経て安全を担保しているのか、その事実を見る目が大切です。

シママースは、海外の原料を使いながらも、日本の厳しい基準と職人の技術によって「清められた塩」であると理解して良いでしょう。

シママースは「ミネラルを削ぎ落とした塩」ではない

また、シママースを、スーパーで安価に売られている赤いキャップの食卓塩と同じ「精製塩」だと混同している方がいますが、これは間違いです。

避けるべき「精製塩」とは、海水を電気分解する「イオン交換膜法」という化学的な工場で作られたもの。これは、海水から塩化ナトリウムという化学物質だけを純粋に抽出し、人体に必要なマグネシウムやカリウムといったミネラルを、不純物として徹底的に削ぎ落としてしまった「死んだ塩」です。

一方でシママースは、先述の通り、沖縄の海水(にがり成分)を加えることで、一度失われかけたミネラルを補っています。

成分表を見れば一目瞭然ですが、精製塩が塩化ナトリウム99%以上であるのに対し、シママースにはカルシウム、カリウム、マグネシウムがきちんと残されています。

もちろん、平釜で煮詰めただけの完全な天然塩に比べれば、ミネラルの量は控えめかもしれません。しかし、ミネラルを意図的に排除した精製塩とは、その生い立ちも、体への影響も全く異なります。

「完璧な塩」ではないかもしれませんが、少なくとも「体を蝕む塩」ではない。その違いを明確に理解し、家計と用途に合わせて賢く使い分けることが、現代を生き抜く台所の知恵です。

最高級「天然海塩」vs「シママース」

マグネシウム・カリウム含有量で見える「完全天日塩」との差

シママースは、精製塩に比べれば雲泥の差で優れていますが、食養生を極めようとするならば、そこで満足してはいけません。

沖縄には「ぬちまーす」や「雪塩」、あるいは高知県の「完全天日塩」のように、釜で煮詰めることさえせず、自然の力を極限まで利用して海水の成分を丸ごと結晶化させた塩が存在します。これらとシママースの間には、栄養学的に越えられない「壁」があります。

その決定的な違いは、マグネシウムとカリウムの含有量です。成分表を並べてみれば一目瞭。シママースにもミネラルは添加されていますが、海水をそのまま結晶化させた塩には、その数倍から数十倍もの微量ミネラルが含まれています。

マグネシウムは代謝を助け、精神を安定させる要であり、カリウムは体内の余分なナトリウムを排出するポンプの役割を果たします。シママースは「塩化ナトリウムの害を中和する最低限のミネラル」を持っていますが、完全な天然塩は「体を積極的に治癒へと導く薬効レベルのミネラル」を持っていると言えます。

この「生命力の差」を理解し、今の自分の体調がどちらを求めているのかを問うことが大切です。

賢い使い分けの知恵

しかし、だからといって「全ての料理に最高級の塩を使え」というのは、現実的な生活の知恵ではありません。

完全天日塩などは非常に高価で、貴重です。これを、お湯に溶かして捨てるパスタの茹で汁や、大量の塩を使う梅干しや漬物の下漬けに使うのは、家計を圧迫し、長続きしない原因となります。

ここで、シママースの出番です。シママースは、安全性と価格のバランスが非常に優れた「生活の塩」です。野菜の板ずり、パスタを茹でる時、魚の臭み取り、あるいは大量の漬物を作る時など、量を必要とする場面では惜しみなくシママースを使ってください。精製塩を使うよりはずっと体に良く、罪悪感を持つ必要はありません。

その代わり、おにぎり、焼き魚、トマトにかける時、あるいは吸い物の味付けなど、「直接口に入る塩」や「味の決め手となる塩」には、ミネラル豊富な最高級の天然塩を使うのです。

「質」と「量」、そして「ハレ」と「ケ」。この使い分けこそが、無理なく健康生活を続けるための秘訣です。シママースの限界を知りつつ、その利便性に感謝して使いこなすこと。一つのものに固執せず、適材適所で使い分ける柔軟な姿勢こそが、台所を預かる者の賢い采配と言えるでしょう。

本記事について、疑問や質問があればぜひコメントでお知らせください。わたくしが可能な限り皆様の不安や悩みにお答えいたします。

自然堂の守り人と申します。
古来より培ってきた自然の理によって、現代社会の不器用さ、矛盾を紐解き、本来あるべき自分を取り戻すための知恵をお伝えしております。

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