スーパーに並ぶ「キムチ風漬物」
「乳酸発酵」による酸味か、「酸味料」による人工的な酸っぱさか
健康のために、腸のためにと、毎日キムチを召し上がっている方も多いことでしょう。しかし、スーパーの棚にきれいに並べられたその商品の多くが、実は「発酵」などしていない、ただの「キムチ風の浅漬け」であることをご存知でしょうか。
本来、キムチというものは、白菜などの野菜についた天然の微生物たちが、時間をかけて糖分を分解し、乳酸菌を生み出すことで作られます。この自然の営みによって生まれる酸味は、角が取れて奥深く、私たちの体を内側から元気にする力を持っています。
ところが、大量生産される多くの市販品は、この「待つ時間」を惜しみます。発酵を待つ代わりに、野菜を塩漬けにし、そこへ**「酸味料」**という添加物を加えることで、手っ取り早く「酸っぱい味」をつけているのです。
これは料理で言えば、じっくり煮込んだスープと、化学調味料をお湯で溶いた即席スープほどの違いがあります。
舌先では同じ「酸っぱさ」と感じるかもしれませんが、体にとっては天と地ほどの差があるのです。
パッケージの裏を見てください。「発酵」という文字がなく、原材料に「酸味料」や「調味料(アミノ酸等)」ばかりが並んでいるなら、それは野菜に添加物の味を染み込ませただけの「工業製品」に過ぎないと心得ること。
流通のために加熱・保存料漬けにされ、乳酸菌が死滅している
さらに嘆かわしいのは、たとえ発酵して乳酸菌が生まれたとしても、それが私たちの口に入る時には「死んでいる」という現実です。
本物のキムチは生きています。容器の中でも発酵が進み、炭酸ガスを出して呼吸をしています。しかし、流通させる側からすれば、発酵が進んで味が変わってしまったり、ガスで袋がパンパンに膨らんだりすることは「クレームの原因」となり、都合が悪いのです。
だから、多くのメーカーは何をするか。
出荷前に加熱処理をして乳酸菌を殺してしまうか、あるいは保存料をたっぷり入れて菌の活動を強制的に止めてしまうのです。これを「発酵止め」と言いますが、菌を殺してしまっては、私たちが期待する整腸作用や免疫力を高める酵素の働きは、ほとんど失われてしまいます。
最近の研究では、死んだ菌でも多少の効果はあると言われていますが、やはり生きた酵素と生命力あふれる菌をいただくことこそが、食養生の基本。
「賞味期限が長い」「いつ食べても味が変わらない」ということは、裏を返せば「生命活動が止まっている」という証拠でもあります。便利さを優先するあまり、私たちは「食べ物」ではなく、単なる「味のついた物体」を食べているのではないか。そのことに気づき、本物の命を選ぶ目を養わなければなりません。
パッケージ裏の「避けるべき三大添加物」
血糖値を乱す「果糖ぶどう糖液糖」の大量配合
本来、唐辛子の辛さと乳酸発酵の酸味が調和するのがキムチです。しかし、市販の「キムチ風漬物」の原材料名の先頭を見て驚くことがあります。
そこには、野菜の次に**「果糖ぶどう糖液糖」**という文字が記されていることが多いのです。これは、トウモロコシなどから化学的に作られた、砂糖よりも吸収が早く、血糖値を急激に上昇させる安価な液状の糖分です。生成された白砂糖より吸収が早いとは驚きですね。
辛いものを食べているつもりでも、実は大量のシロップ漬けの野菜を食べているのと同じ状態です。この「激辛」と「激甘」という不自然な同居は、私たちの味覚を麻痺させるだけでなく、膵臓に過度な負担をかけ、血糖値の乱高下を招きます。
ご飯が進む濃い味付けの裏には、こうした強烈な糖分の罠が潜んでいることに気づかねばなりません。
味覚を壊す「化学調味料(アミノ酸等)」と発がん性が疑われる「タール系色素」
次に注意すべきは、発酵によって生まれるべき深い旨味と美しい赤色を、化学の力で偽装していること。
原材料にある**「調味料(アミノ酸等)」**は、時間をかけずに強制的に「美味しい」と感じさせる化学物質です。これに慣れてしまうと、素材本来の繊細な味が分からなくなり、子どもたちの味覚形成に深刻な影響を与えます。
さらに、見た目を鮮やかにするために使われる**「赤色〇〇号」といったタール系色素**は、石油から作られた合成着色料で、海外では使用が禁止されている国もあるほど、発がん性やアレルギーのリスクが懸念されています。
自然の色は、時と共にくすんでいくのが当たり前です。いつまでも鮮やかすぎる赤色は、自然の理に反した「危険な信号」であると捉えること。
増粘多糖類とpH調整剤
とろりとした濃厚なタレを演出するための**「増粘多糖類」や、腐敗を防ぎ酸味を調整する「pH調整剤」**も、本来のキムチには不要なものです。これらは、水っぽさを誤魔化し、長期間棚に並べておくための、メーカーの都合による添加物に過ぎません。
一つ一つの添加物は国の基準内かもしれませんが、これらを一度に何種類も、しかも毎日摂取し続けたとき、体の中でどのような化学反応が起きるのか、複合的な影響は誰にも分かりません。
これを「複合汚染」と言います。不自然なトロミや、いつまでも腐らない便利さの代償として、私たちは自分の体という自然を、化学物質の実験場にしてはならないのです。
添加物だらけのキムチが腸内環境に与える悪影響
腸内フローラの破壊
便秘解消や肌荒れ改善を願って、白菜の食物繊維を摂ろうとキムチを食べるその心がけは立派です。しかし、そのキムチに「保存料」が含まれていたとしたら、それは体を掃除するどころか、腸という生命の根っこに除草剤を撒くような行為だと思ってください。
保存料とは、食品が腐らないように、つまり微生物が生きられないようにするための薬品です。これを食べ物と一緒に体に入れるということは、私たちの腸の中に住んでいる大切な常在菌、いわゆる腸内フローラまでをも殺菌し、痛めつけてしまうことを意味します。
本来、食物繊維は腸内細菌のエサとなり、発酵を促して体を元気にする源です。しかし、保存料という毒と一緒に送り込まれた食物繊維は、菌を育てる役目を果たせず、ただ腸内を荒らす異物となってしまいます。
「お腹に良いはず」と信じて食べたものが、逆に腸の働きを弱め、冷やし、万病の元を作っているという矛盾に気づくこと。
高血圧リスクを高める「精製塩」と化学調味料の組み合わせ
高血圧を気にして塩分を控えている人が、安価なキムチを食べるのは大変危険です。問題は塩の「量」よりも「質」にあります。昔ながらのキムチは、ミネラルを豊富に含んだ天日塩や海塩を使い、発酵の過程で塩角が取れてまろやかになります。この天然のミネラル(マグネシウムやカリウム)が、体内の余分な塩分を排出し、血圧を調整する助けとなるのです。
ところが、市販の添加物だらけのキムチに使われているのは、ミネラルが削ぎ落とされた、ただ塩辛いだけの**「精製塩(塩化ナトリウム)」**です。
これに加えて、旨味を出すための化学調味料(グルタミン酸ナトリウムなど)が大量に使われていますが、これも化学的には「ナトリウム塩」の一種です。
つまり、精製塩と化学調味料のダブルパンチで、体には逃げ場のないほどのナトリウムが押し寄せます。 ミネラルの助けがないため、体は水分を溜め込んでこのナトリウムを薄めようとし、結果として血管パンパンに膨れ上がり、血圧が急上昇します。
これを「キムチの塩分」と一括りにするのは間違いです。これは「化学物質による血液の汚染」であり、腎臓や心臓を静かに、しかし確実に疲弊させる大きな原因となっているのです。
本物の「生きているキムチ」を見極める選び方の知恵
「キムチくんマーク」と原材料
まず一つの目安となるのが、韓国政府が認定した**「キムチくんマーク」**です。これは、韓国産の材料を使い、伝統的な製法で作られた発酵キムチにのみ与えられる印であり、一定の品質と発酵の過程を経ている証拠。
しかし、マークがあるからといって安心しきってはいけません。最も確実なのは、やはりあなたの目でパッケージの裏側、原材料表示を確認すること。
本物のキムチの原材料は驚くほどシンプルです。「白菜、大根、唐辛子、ニンニク、生姜、塩、魚醤(塩辛)」、これだけで十分なのです。
ここに「果糖ぶどう糖液糖」や「酸味料」、「増粘多糖類」といった、台所に存在しないカタカナの物質が長々と書かれているものは、そっと棚に戻してください。
そして、パッケージに堂々と**「発酵」や「熟成」**と書かれているか、あるいは「乳酸菌が生きている」という表示があるかを確認するのです。
変化する味こそ本物の証!購入後に酸味が増していくキムチを選ぶ重要性
そして、購入した後にも本物を見分ける決定的な瞬間があります。それは、冷蔵庫に入れておいたキムチの**「味が変わるかどうか」**です。
添加物で味付けされただけの「死んだキムチ」は、いつまで経っても同じ味のままですが、微生物が生きている本物のキムチは、日が経つにつれて乳酸発酵が進み、次第に酸味が増していきます。
多くの現代人は、この酸っぱさを「傷んでしまった」と勘違いして捨ててしまいますが、これは大きな間違いです。
酸味が増したということは、乳酸菌が元気に活動し、数が増えたという、何よりの**「生きている証」**なのです。この酸っぱくなった状態こそが、整腸作用や代謝を高める力が最も強まった、いわば「薬効」のある状態です。
もし酸っぱすぎて生で食べにくいと感じたら、それを豚肉と一緒に炒めたり、鍋に入れたりすれば良いのです。加熱することで酸味がまろやかな旨味に変わり、余すところなく命をいただくことができます。
味が変わることを楽しみ、自然の変化に合わせて食べ方を変える知恵を持つことこそ、真の食養生であると心得てください。
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