「みりんシロップ」や「みりん風調味料」を、砂糖の代わりに使っていませんか?
実は、その安価な甘味こそが、肥満や糖尿病を招く「精製糖と添加物の塊」である可能性が高いのです。
伝統的な本みりんのアルコール処理の疑問や、みりん風調味料に含まれるぶどう糖液糖の危険性から目を背けてはいけません。
本記事では、その恐ろしい正体を暴き、純米酒や麹甘酒を使った、味と照りを両立させる安全な代替調味料の知恵を徹底解説します。
「本みりん」と「みりん風」の決定的な違い
本みりんは「伝統的な酒」で、みりん風は「液糖と添加物の塊」である
現代の台所にある「みりん」と名のつく調味料には、根本的に異なる二種類が存在します。あなたの健康に良くない影響をもたらすとされているのは、「みりん風調味料」の方です。この二つの決定的な違いは、その製造工程と主原料にあります。
本みりん(伝統的な酒)
主原料は、もち米、米麹、焼酎またはアルコールのみ。長期にわたり自然の力で熟成(醸造)され、もち米のデンプンが麹の酵素によってゆっくりと糖化され、複雑な旨味(アミノ酸)と自然な甘味が生まれます。酒税法上の「酒類」に分類されます。
みりん風調味料(液糖と添加物の塊)
主原料は、水飴やぶどう糖液糖が主体で、これに酸味料、香料、調味料(アミノ酸等)を加えて、本みりんの風味に似せて作られています。
醸造や熟成の過程がないため、製造コストが安く、酒税がかからないようアルコール度数も1%未満に抑えられています。
つまり、本みりんが米という自然の素材から発酵の力によって作られた伝統的な調味料であるのに対し、みりん風調味料は、人工的な甘味料と添加物を混ぜて急速に作られた、全くの別物なのです。
ぶどう糖液糖と水飴が引き起こす血糖値スパイクの罠
みりん風調味料が健康を害する最大の懸念は、その主成分であるぶどう糖液糖や水飴にあります。
本みりんの甘味は、もち米のデンプンが分解されたブドウ糖やオリゴ糖などが主で、旨味成分と複雑に絡み合っているため、緩やかに吸収されます。
しかし、みりん風調味料に含まれるぶどう糖液糖(別名:異性化液糖)は、非常に安価で強い甘味を持つ液状の糖質です。これは消化の必要がなく、摂取後極めて早く吸収されるため、急激な血糖値の上昇(血糖値スパイク)を引き起こしやすいとされています。
血糖値が急激に上昇すると、膵臓は血糖値を下げようと大量のインスリンを分泌します。この乱高下を頻繁に繰り返すことは、インスリンを分泌する細胞を疲弊させ、長期的には糖尿病や肥満のリスクを高める原因となります。
料理の度にみりん風調味料を多用することは、知らず知らずのうちに、血糖値のジェットコースターに乗っているのと同じです。天然の素材から作られた本みりんを選ぶことが、私たちの体の代謝を守るための、最も基本的な知恵となります。
みりんの健康リスク:糖質、アルコール、添加物の三大懸念
肥満と糖尿病のリスク
前項で述べたように、みりん風調味料の主成分は、ぶどう糖液糖や水飴といった精製された糖質です。この過剰な糖分摂取こそが、私たちの代謝機能に大きな負担をかけ、肥満と糖尿病のリスクを招く懸念があります。
体はエネルギーとして使いきれなかった糖を、インスリンの働きで脂肪として蓄えようとします。特に、液状で吸収の速い糖質は、インスリンの過剰分泌を招きやすく、これが「インスリン抵抗性」を高める一因となります。インスリン抵抗性とは、体がインスリンの作用に鈍感になる状態で、これが糖尿病の入り口となり得るのです。
知らず知らずのうちに料理の味付けで多量の精製糖を摂り続けることは、体内のバランスを静かに崩していくことに他なりません。天然の素材で時間をかけて作られた本みりんとは異なり、安価な甘味で味をごまかすみりん風調味料は、食養生の観点からは避けるべきものと考えます。
本みりんのアルコールは加熱で本当に飛ぶのか?
一方、伝統的な本みりんは、アルコールを約14%含んだ「酒類」に分類されます。このアルコール分について、特にお子様や妊婦の方がいらっしゃるご家庭では、「加熱で完全に飛ぶのか」という懸念が生じるのは当然のことです。
一般的な調理においては、沸騰させて加熱する過程でアルコールの大部分は蒸発しますが、アルコールが完全にゼロになるわけではありません。例えば、短時間の煮物や和え物など、加熱が不十分な料理では、微量ながらアルコールが残存する可能性があります。
本みりんを使用する際には、十分に煮切る(アルコールを飛ばす)手間を惜しまないことが、食に対する配慮であり、古来からの知恵です。
アルコールが心配であれば、後述する麹甘酒や純米酒などを代替として使用するなど、それぞれの家庭の事情に合わせてください。
添加物の長期的な安全性への疑問
みりん風調味料のもう一つの大きな問題は、目に見えない化学物質、すなわち添加物です。みりん風調味料は、本みりんが持つ複雑な旨味や風味、照りを醸造によって得られないため、酸味料、化学調味料(アミノ酸等)、香料、着色料といった添加物を混ぜ合わせることで、それらを模倣しています。
これらの添加物は、国の定める基準内で使用されていますが、問題はその「複合的な摂取」、そして「長期的な摂取」です。 特定の添加物単体の安全性は確認されていても、異なる種類の添加物を毎日、長年にわたって摂取し続けた場合に、私たちの体の細胞や代謝にどのような影響を与えるかは、まだ十分に解明されていません。
天然の素材のみで作られたものを追求し、不要な化学物質を極力排除するという姿勢こそが、私たちの体を守るための、最も確かな食養生の原則であると考えるべきです。
「みりんシロップ」の砂糖代替としてのメリットとデメリット
過剰な甘味料摂取を招く「優しい甘さ」の落とし穴
精製された白砂糖を避けたいという健康意識の高まりから、「みりんシロップ」や「ライスシロップ」、あるいは「みりん風」を謳った液状の甘味料が、健康的な代替品として注目を集めています。
これらは「米由来だから安心」「自然な甘さ」という宣伝文句と共に販売されており、消費者はこれを体にとって良いものと信じ、料理や飲み物にたっぷりと使いがちです。
しかし、ここに大きな盲点があります。これらのシロップの多くは、伝統的な醸造過程を経て作られた本みりんとは異なり、工業的にデンプンを分解して糖分だけを抽出・濃縮したものであることが多い。
中には、安価なトウモロコシなどを原料とした「異性化液糖(果糖ぶどう糖液糖)」をベースにし、わずかなみりん粕や香料で風味付けをしただけの製品も市場には出回っています。これらは自然の恵みというよりも、むしろ「精製された糖質の塊」に近い存在です。
最も警戒すべきは、「優しい甘さ」という言葉の裏にあるリスクで、砂糖に比べて甘味が穏やかであるということは、満足できる甘さを感じるために、無意識のうちに使用量が増えてしまうことを意味します。
スプーン一杯の砂糖を避けるために、その三倍、四倍のシロップをかけてしまっては、本末転倒です。さらに、液状の糖分は、固形物に比べて消化のプロセスをほとんど必要とせず、驚くべき速さで腸から吸収されます。
これが血液中に一気に流れ込むことで、血糖値の急激な上昇を招き、インスリンを分泌する膵臓や、糖を処理する肝臓に多大な負担をかけることになるのです。
自然から離れれば離れるほど、体は不自然な状態に陥ります。大切なのは、「何とかシロップ」という加工品に飛びつくことではなく、素材そのものが持つ力をいただくことです。
甘味が欲しいのであれば、時間をかけて醸造され、アミノ酸やビタミンを抱き込んだ「本みりん」を煮切って使うか、米と麹だけで作られた「甘酒」を活用する方が、はるかに体に優しく、理にかなった選択であると心得てください。
みりんを使わずに味と照りを出す代替調味料
純米酒や麹甘酒
みりん風調味料や怪しげなシロップの害を知った今、台所からこれらを追放した後、一体何を使えばよいのかと戸惑う方もいらっしゃるでしょう。
遠くを探す必要はありません。私たちの国が古来より大切にしてきた発酵の力、すなわち「純米酒」と「麹甘酒」の中にあります。
まず、味の土台となるのは純米酒です。ここで大切なのは、醸造アルコールを添加していない、米と米麹だけで作られた純粋な日本酒を選ぶこと。
純米酒は、単にアルコール分を加えるだけでなく、料理に深いコクと、素材の持ち味を引き立てる天然のアミノ酸を豊富に含んでいます。これが、みりんの持つ「旨味」の役割を十分に、いや、それ以上に果たしてくれます。
そして、みりん特有の甘味と美しい照りを補うのが、「麹甘酒」です。砂糖を一切加えず、麹の酵素力だけで米のデンプンを糖化させた甘酒(特に濃縮タイプ)は、強烈な砂糖の甘さとは異なり、体に染み渡るような穏やかで奥行きのある甘みを持っています。
煮物や照り焼きを作る際、この純米酒と甘酒を合わせて使ってみてください。例えば、酒と甘酒を同量、あるいは好みに応じて甘酒を多めに配合することで、驚くほど上品で、素材の味を邪魔しない本当の美味しさが生まれます。
甘酒に含まれるブドウ糖が加熱されることで、みりんに負けない美しい照りも生まれます。これは単なる代用品ではありません。不自然な精製糖や添加物に頼らずとも、自然の摂理に従ったものだけで、私たちは十分に豊かで安全な食卓を作ることができるという証明なのです。
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